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2014/03/22

武蔵野桜まつり

3月の最終日に東京に帰ったミナは、両親のもとに一晩泊まり、翌日は武蔵野桜まつりを見に行った。

両親もミナを追うように、少し遅れてやって来た。

ソメイヨシノの開花は少し遅れていたが、中央通りを高校生のトワーリングバトン部と吹奏楽部が華やかなパレードを繰り広げてくれた。人の流れに沿ってしばらく沿道を歩いた。子供たちの歓声が上がる。近くに白いネズミのぬいぐるみがやってきた。

市民公園のステージでは、踊りが始まっていた。縁日広場の特産品、植木市、と一応両親に合わせて歩き回った。

ミナは両親と手をつないで歩いたころを思い出す。小学校に上がる前だったろうか、小学校の1、2年生だったろうか。記憶が前後する。

時計を見ると4時を回っていた。この間まですぐに暗くなったと思っていたが、やはり、確実に季節は巡っている。
 
「ミナ、今日帰るんだって」

「うん、これから」

父は何か言いたそうだったが、言葉にはしなかった。

「大学の仕事もあるんでしょう。あなた、それじゃあ、ミナ・・」

母の勧めに応じてイタリアン食堂で少し早い夕食を戴いた。

「また連絡するから」ミナそう言って手を振った。父の目が潤んだように見えた。

新幹線の車内で、乳児を抱いた女性が通路を挟んで座っていた。まだあどけなさが残っている。二十歳前かもしれないとミナは思う。

5月になれば私も33歳か。両親とも30過ぎのときに生まれた一人っ子の私だから、早く孫の顔を見たいと思っているに違いない。何か言われる前に、という思いで先ほど両親と別れて来たのではないといえば嘘になる。

窓外に目をやったミナの脳裏に、吹奏楽に合わせてバトンを回す姿が浮かび、トランペットの音色が耳の奥でよみがえる。

4月6日までの休み中に、原書で英文学の本を一冊読んでおきたいと思う。頭に直接話しかけてくる声。飛行物体の中にいたエイリアン。ミナの住む京都であの公園に行き、別の世界へ飛び、諏訪大社で二人の女性に会った。来未と春海、だったろうか、地震による大津波で別の世界へ行ったという二人。

To Be Continued

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