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2014/04/15

ミナ 京都の部屋

あの人に伝わったかな。

精神を統一して彼に思いを送ってみよう。5月の連休に入って3日目の朝、ミナの中にそうした思いが浮かんできた。あの日、最後に来未があの人の名前と居場所を伝えて消えていったが、ミナはしっかりと記憶していた。

朝から数時間自宅のマンションのソファに掛けていたミナは、コーヒーを淹れに立ち上がった。非常勤講師とは言え、持ち駒数の多い大学の授業の準備はいつも忙しかったが、上賀茂神社でのことがずっと気になっていた。

「わたしたちは、もう次の空間へ移動する時が来ていると、あの人たちに告げられました。それで、わたしの代わりにあの人に会い、わたしのつづきをしてもらえないかと、お願いしようと思ったのです」あの日、来未から伝わってきた思いがいくどとなくミナの中で繰り返された。

そんなことってあるんだ。ある日突然天から降ってきたように。体外離脱をしてから、次々と不思議なことが起こるようになった。しかし、それも、最初から決まっていたことなのだろうか。巨大地震が起きて津波が来て、ほんとうに、どういうことなのかな、人の一生って。

憲法記念日、みどりの日、こどもの日、日曜日、とミナは開いたメモ帳で確認した。何の休日なのか曖昧だった。

私の送ったメッセージが、上海にいるハルトシさんに伝わっていれば良いけれど。ミナは、口に入れたコーヒーを静かに飲み下した。

2階の窓の向こうには、ハナミズキの白い花が陽射しを受けて咲き誇っている。

To Be Continued

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