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2014/04/17

メッセージ

春利は、転勤先の上海浦東新区福山路にあるビルの9階にいた。

宮里上海支店長と次に営業に出向く会社についての打ち合わせだった。訪問先の有限公司は、建築・建材を扱う会社で、工業用シール剤・接着剤の新商品の紹介が春利の仕事だった。

隣りには張虹(チャン ホン)も同席していた。春利も上海へ来て1年2カ月たち、主任営業技術員の肩書だったが、商談で相手の中国人担当者の意向が十分くみ取れない部分もあるため、重要な場には張虹(チャン ホン)に同行して貰った。

昼食の時間でいったん休憩に入り、張虹(チャン ホン)はお弁当を持参してきたというので、春利は職場ビルから表に出ようとエレベーターに乗った。

「沢さん。私は、サオトメ ミナ、と言います。来未さんから、あなたのことを聞きました。あなたに会えないまま、地震の後の津波で向こうの世界へ行ってしまったため、私にその思いを伝えてきたのです。一度あなたに会ってお話ししたいと思っています・・」

ふいに、上海中山公園でのことが春利の脳裏によみがえった。あの公園で、桜の木の下の草むらに腰を下ろし、仰向けに寝転がって急に出張の疲れが出たのか、しばらく眠っていたのだ。

しかし、サオトメ ミナ、という名はまったく初めてで、その人が来未の名を出してきたということは、ほんとうに、実在している人なんだろうか。それにしても、不思議だな・・

春利は、急に後ろから押されて我に返った。エレベーターは一階に着いてドアは開いていた。

To Be Continued

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