eye

2014/06/21

希望

桑田はスタジアムへつづく西ゲート橋を欄干沿いに歩き出した。鶴見川の遊水地を公園として利用している眼下の広大な公園に降りていこうと思った。ちょうど陽が沈むところだったが、辺りは暑くまだ充分明るかった。

階段を下りながら桑田は以前来た時にスタジアムの上空に光る物体が現れたことを思い出した。もう少し暗くなれば、見えやすくなる。あのときはスタジアムでコンサートが遅くまで行われていて、歌声と楽器演奏の後の歓声がすごかったことを思い出した。西空を北の方へと旅客機が移動していくのが見える。

両側に芝生がある中央広場を歩いて行くと、前方の高架橋下から激しくコンクリートにぶつかるスケーボーの音が響いてくる。平日でも学校が終わればすぐに駆けつけるのだろう。いつもにぎわっている。

広場の突き当りに清潔なレストハウス様のトイレの建物がある。店が空いているうちにと途中ですき家で早目の夕食をすませてきたが、入口にアイスクリームの自動販売機があることを桑田は思い出した。血糖値が気になりここ数年は甘いものを極力避けてきたが、急に食べたくなった。

入口には水道の蛇口が並んでいて中のトイレにも手洗い場がある。入るのをためらう公園のトイレとは違い清潔感が漂っている。

販売機の前に立った。いろいろなアイスクリームの画像が並んでいたが、以前一度食べたことがあったがチーズ味で甘さが薄い物を選んだ。小さな円錐形のコーンカップを防水紙でカバーしてあった。食べた後口をゆすぎ、日が限ったからウォーキングをしよう。糖分の消費が頭にあった。

草地広場のベンチに腰掛ける。目の前の広い芝生が心地よい。アイスクリームの塊が口内で溶けていく。空を見上げる。

ヘリコプターが移動している。現在の住まいに近い麻生川の川沿いの桜並木。そこで一人の女性に出会ったことが浮かんできた。3.11の大地震があったが桜は咲いた。花びらがいつもより少し色あせて感じた。数メートル先の桜の木の下に30前と思われる女性が立っていた。夕方だった。大きな桜の木の下で、花を眺めるというよりは物思いにでもふけっているような様子だった。 近づいた桑田が彼女に目をやると、少し頭を下げ何か言いたげにも見えたが、初めて出会う見知らぬ女性に声をかけるのは憚られた。あれは誰だったのだろう。

幻覚なんかではない。あの女性はレギンスに上は濃いグリーン系の長袖カラーシャツ姿だった。

To Be Continued

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