eye

2014/08/14

生きるため

当日中にミナから返信が来るかと思ったが来なかった。春利の休み中にはと期待したが何も言って来なかった。ミナも大学の講義関連だけでもいろいろと忙しいに違いない、と春利は自らに言い聞かせた。

月曜日。春利は中山公園まで歩き、いつも通り地下鉄に乗って出勤した。ただ、内心何も起こらないことを願っていた。

中国の活動家が尖閣諸島に上陸し海上保安庁により検挙された。活動家等の逮捕と強制送還後、中国では反日デモが繰り広げられた。日本政府が尖閣諸島を民間から買い上げ国有化することを閣議決定した。

反日デモは中国各地で起こり、次第にエスカレートして、日系企業の工場や日系自動車会社の販売店などは破壊された後に放火された。

日系スーパーとかコンビニは大規模な破壊と略奪行為に遭った。中国人が経営する日本料理店や路上を走行中、あるいは駐車中の中国人所有の日本車も破壊された。日本料理店や日本車の所有者は被害を避けるため閉店した。

それらのニュースを観て、他人事ではないと春利も上海支店長と話した。幸い春利の上海支点での営業成績はここ数カ月も変わらなかったが、この先どうなるのだろうという不安はあった。たまたま接着剤関連という目だたない職種のため攻撃の的にならなかっただけだと春利は思う。ただ、生きて行くためには働かなければならない、と春利は自らに言い聞かせていた。

その日、営業先の中国人担当者とも同じように話が出来た。ビルを出たところで春利はふーっと息を吐き出した。路上に不穏の空気は流れていなかった。

公寓に戻り、ノートパソコンを立ち上げた。RE: とあるのは、早乙女ミナからのメールだった。

To Be Continued

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