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2014/09/21

世界の秘密

その日、最後の授業を終えたミナはカフェへ向かった。 11月最初の月曜日だったが、少し肌寒さを覚えた。生徒の渋江カナからメールが入ったのは、日曜日の午前中だった。文から緊迫感というか強度の不安が感じられた。要件は話を聞いてほしいということだったが、授業の準備もあるので、月曜日の授業が終わってからで良いかと返すと、それじゃあと応じてくれた。

個人的な話を聞くのは大学のキャンパス内でない方が良いと思い、アメリカ人の女性講師に誘われて行ったことがある洋館のカフェで待合せることにした。以前宣教師が暮らしていた家だったという。大学に来る地下鉄駅から徒歩で6分ほどだから問題ないだろうと、場所を知らせるメールを折り返した。受講している授業が先に終わる渋江は、いったん帰宅してその時間に来るという。

ミナが指定のカフェに着くと、渋江カナは不安そうな表情で洋館の店の前にいた。

客は二人のほかに青い目の外国人女性が二人いるだけだった。席に着き、ミナがコーヒーを2つ注文すると、カナは怯えたような口調で話し始めた。

3日の文化の日に下鴨神社の近くの家に家庭教師にいったという。中学校を受験するという小学校5年の女の子に算数を主に教えているというが、一昨日はその帰りに彼女の身に妙なことがあったのではないかと少しどもる口調で言った。

「わたし、帰りになぜかちょっと神社によって行こうかなって思ったんです」

「何か、聞こえてきたというか、意思が伝わって来たとか・・」

「何か、引かれるような・・」

「それで、下鴨神社へ」

「ええ、まだ辺りは明るかったけど、あそこ、道の両側に樹木がずっとあって鳥居まで長い道がつづいていて、暗くなる前には帰ろうと思っていたんだけど」

「そこで、何かが起こったのね」

「ええ。ずっと先に朱色の鳥居が見え、その向こうにいる人たちが小さく見えたわ。それからわたし・・」その時コーヒーが届き、ミナは、サンキューと運んできた中年のブロンド女性に笑顔で言った。

「どうぞ、つづけて」

「そこで、両側の樹木の間の上空に何かが来ているのを感じて見上げたんです。その前に、キュルキュルというような音を聞いたように思うけど、まぶしくて、そのものの様子は分からなかった。次の瞬間には身体が上へ揚がってその後は記憶がないんです」

To Be Continued

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