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2014/10/20

帰国

春利の希望は結果としてそのまま受け入れられた。宮里上海支店長は、名古屋の部長、それに春利を上海に送ることで何かとサポートしてくれた安藤課長と電話でやり取りしたようだった。入社以来営業実績も残し、会社の内外でも人望があったから、「ほんとうはここで5年はいてもらいたかった」と宮里から言われた。

「沢さん、今月で会社辞めるんですって?」
ハンドルを握る張 虹(チャン ホン)が助手席にいる春利に流暢な発音で言った。語学の才能が抜群なのは認めるが、上海生まれで道路事情にも詳しい彼女が運転を買って出た。

「支店長から聞きましたか」

「はい」

「張 虹さんには、ほんとうにお世話になりました。おかげで、中国語もだいぶ話せるようになったし、これからの人生にも役立つと思います」

「それは良かったですね。役立ててください。それで、これから、日本で何かやりますか?」

「ええ、予定していることもあります。中国語も役立つかもしれません」

「うまくいくと良いですね。私も今年の夏に結婚する予定です」

「えっ、それはおめでとうございます。相手の方は上海の・・」

「いえ、アメリカに留学していたときに出会った彼で、アメリカ人のメディカルドクターです」

「お医者さんですか。それは良いですね。じゃあ、もしかしてアメリカへ?」

「はい、行くようになると思います。あっ、ここを右へ曲がらなくては・・」

「すみません。話しかけない方が良いかな」

「いえ、大丈夫。もう少しですね。あの有限公司は・・」

To Be Continued

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