eye

2014/11/02

世界の向こう

御薗橋を渡っていけば上賀茂神社がある。ミナの脳裏にほぼ一年前のことがよみがえった。

朱色の一の鳥居をくぐり、告げられた通り二の鳥居に向かって歩いていった時、突然光の窓が現れ、中に入った瞬間に上賀茂神社の上空のような空間にいた。そこで来未と春海に出会った。下方に神社の屋根やゴルフ場の緑が見えたけど、私の行った所は別の空間だったのだろうか。移動する前の斎王桜も鮮明に記憶に残っている。

西加茂橋に近づいた頃、そろそろ引き返した方が良いかな、とミナはカナの方を見た。カナは堰か段差の辺りに視線を向けている。川幅自体はとても広く取られているが、緑に色づいた中州があちこちに広がっている。

先ほどジョギングの青年が二人の歩く同じ遊歩道を下って行ったが、周囲に目をやっても歩く人の姿が見当たらない。上空には白い竜のような雲が幾重にもおおっている。そういえば、カモやサギやほかの小鳥たちの姿も見えない。

と、段差を落ちる賀茂川の水音に交じり、何か金属音のようなかすかに唸る音が聞こえたような気がする。

「先生」カナが声を上げたのと同時に、二人は上空を仰いでいた。

ミナはカナの手を握った。姿は見えないがキュンキュンという音が確認できた。

「カナさん、大丈夫よ。彼らに違いないわ」カナの手がしっかりと握り返してきた。

「きっと防御スクリーンで被っていると思うわ」

次の瞬間、二人は眩しさのあまり思わず顔をそむけた。が、同時に身体が遊歩道から宙に浮き始め、上の方へと引き込まれていった。

To Be Continued

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