eye

2014/11/05

世界の向こう

気づいた時、二人は彼らの乗り物の中にいた。六畳間くらいだろうか。そばにはグルグル巻きにしたコイルのようなものが透明なカバーの中にあった。

「こわがることはない。われわれは、初めてではない。そこの席へすわりなさい」ミナとカナよりも背が低く、つりあがった大きな目をした生き物から直接二人に伝わって来た。呆然としていたミナの意識が戻ってきた。宇宙服を着ているんだ、と灰色に被われた相手を見下ろしてミナは思った。カナはまだ意識が遠くにあるようで床に崩れ落ちそうになっている。

カナの手を取り、並んでいる席に二人は座った。窓と思われる前方にもう一人の生き物が座っている。乗り物を操縦しているのだろうか。窓の向こうには賀茂川も街並みも何も見えなかった。

「私はキミにはいくども会っている」ミナにふたたび相手の思いが伝わって来たが、以前会ったと言われても大きな目の印象は鮮明に残っていたが、似たような姿しか記憶に残っていない。

カナがそばに立っている生き物の方を見ている。キミにに会うのは二度目だと言っている。姿かたちでは分からないが、やっぱり同じエイリアンなんだとミナは思う。相手は、こちらが声に出さなくても人間の思っていることが分かっているようだ。おそろしい。

「これから二人をマーズへ案内しよう。そこのベルトを・・」相手の手がカナのベルトをセットし始めた。カナはふるえている。この機内には酸素があるんだ、とミナは初めて気づく。カナに目で合図する。今度はミナのベルトをセットしにきた。

「なぜ私たちをマーズへ?」

「われわれのことを一般の地球人にも知らせたいのだ」エイリアンの大きな目がミナを見ている。

「火星には空気も地球のようにはないから、人間は酸素マスクや宇宙服を着けないとダメでしょう」

「マーズの上空に案内するが、この乗り物から外には出ないからだいじょうぶだ」

エイリアンは前方のもう一人のエイリアンがいる操縦席のような所へ移動した。床の下には、さまざまな装置があるのだろう、とミナは足下に目をやる。カナの不安そうな視線がゆれている。窓の向こうには何も見えない。どれくらいの速度で火星へ向かっているのか見当もつかない。

生きて地球へ帰してもらえるだろうか、ほんとうに無事で・・。カナの目に涙が浮かんでいる。

To Be Continued

Sponsored Links

コメント

非公開コメント