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2014/11/20

世界の向こう

「早乙女さんも大変な体験をしたんですね」

「わたし、こんなことも起きるんではないかと思っていたんです。これまでの経緯から」

新横浜の駅ビル・キュービックプラザのコーヒー店で、二人は向かい合って座っていた。ミナが「のぞみ」で新横浜駅に着いたのは朝の10時前だった。2日前に連絡を受けた春利は、午後3時くらいまでだったら大丈夫だとメールを返した。

その日、パンと牛乳と野菜で簡単に朝食をすませ、地下鉄で新横浜へ出た。

「沢さんの方は、どんなですか?」

大変なことに出くわした後にしては、ミナは、春利のことにまで思い及ぶ余裕があることに驚いた。

「中国語関連のアルバイトもネット上でヒットしたけど、都内でも僕のところからは遠すぎて。正社員で働くのは当面やめて、何かネットビジネスでやっていきたいと思ってるんです。でも、すぐには出来ないから、アルバイトでつないで行こうと思って。それで、子供たちに学校の勉強を教える塾みたいなものをと思い、周囲の掲示板に貼り紙をしたところ、この時期、タイミングが良かったのか、小中学生が何人か集まり自宅で始めたんです。近場の塾でも週二度、午前中で、春期講習ということでやっています」

「それで、午後3時までならと」

「ええ、今日は。春休み中なので、明日は、午前中もありますよ」

「準備とか結構忙しいでしょう?」

「いや、早乙女さんのように大学生相手ではないので。それでも、デスクとかコピー機とかホワイト・ボードとか買い込んで、必要最小限のものは急いでそろえたんです。まあ、団地のリビングを利用してですから大したことは出来ませんが」

「生徒さんはどれくらい?」

「僕の家での生徒は、帰国して急なことでしたから。新中1と新中2生3名ずつと新小4が4人ですね。同じ団地内の子もいるけど、比較的近隣からの子もいますね」

To Be Continued

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