eye

2014/12/30

世界の向こう(武蔵野)

新横浜で春利と別れたミナは、武蔵野の生家へ帰った。5月で34歳になるから、両親から何か言われるかと思ったが、それを察しているのか、両親とも結婚のことにはふれないようにしている。

ミナ自身は、なるようにしかならないものだから、と深く考えないようにしていた。それよりも、それまでの経験から、小説の形で本にしてみたいと思うようになった。体外離脱に興味を持つようになり、人間とは違う知的生命体と出会ったことは、やはりミナの中で大きな位置を占めるようになった。震災で亡くなった来未や春海と出会ったことも不思議としか言いようがなかった。

3日後に授業が始まるから、と両親に言ってミナは玄関を後にした。新幹線の切符は取ってなかったが、平日だし自由席が開いているだろうと漠然と思い、スマホに新幹線の空席情報を確認できるアプリも入っていたが開こうともしなかった。

駅への道を歩いていたミナは、何か聞こえた気がして周囲を見回した。通勤時間を過ぎたその時間、近くを歩く人の姿はなかった。

気のせいかな、と再び前方に目をやり歩き出した。

「聞こえなかったのか。わたしだ」

今度は明瞭に意思が伝わって来た。あっ、と小声を発して上空へ目を向けた。

「気が付いたか」

「あの・・」

「そうだ」

意思は伝わって来たが、防御スクリーンをはっているのだろう。物体は見えない。

「京都に帰るんだろう。家の近くまで送って行こう」

ミナは、不思議と恐怖感はなかった。ここで乗るの?

「いや、ここではなく、武蔵野八幡宮で」

立ち止って見上げていたが、一呼吸おいてミナはうなづいた。

武蔵野八幡宮までは歩いて10分とかからないだろう。

To Be Continued

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