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2015/02/18

世界の向こう-精神科病棟-

ミナは、看護師に案内されて談話室に入った。シンプルな長めのソファと丸いテーブルがあった。

「まもなく見えると思いますので、そちらに掛けてお待ちください」

看護師が出て行ってすぐに、反対側のドアの向こうからキーが差し込まれる音がした。ミナよりも年上と思われる四角張った顔の男性医師が白衣姿で現れた。頭に白いものが見えていた。

「お待たせしました。重富です」白衣の前に両手をそろえ、丁寧に頭を下げて反対側のソファに腰を下ろした。

「お忙しいところすみません。渋江さんのお母様から連絡を受けるまで、入院しているとは知りませんでした。学期の授業が終わり、単位を取り終えたので、4月からの私の授業には出ていませんので、教室で会うことはないので、こちらへ入院していると聞き驚きました。それで、本人に会う前に、どんな様子か伺っておきたいと思いまして」

「大学で英語を教えてらっしゃるんですね。渋江さんは、入院当初はまったく口を利かなかったのですが、2週間ほどして、本人の口から、早乙女先生に会いたいと」

「どんな症状なんでしょうか?」

「多くは話さないんですが、何かを体験されたようですね」

「先生のご経験から、妄想とか幻聴とか・・」

「う~ん。実のところよく分からないんです。ただ、口を利かなくなり、とても不安そうな様子を見て、お母さんがそれとなく話したところから、一度、専門医に相談してみたらと日赤の方へ行かれ、こちらへしばらく入院して様子を見たらと。本人も同意して入院したようです。ですから、こちらでは、普通に食事され、娯楽室で、卓球とかダンスとかも出来ますし。渋江さんの場合は、安定剤を飲んでいますが、当初眠れないというので注射もしていましたが、現在は内服薬のみです」

「そうなんですか」

「お母さんがいうには、地球が二つあると言ったというのです」

「それって、妄想だと先生は判断されてますか?」

「一般的には、そういうことになるでしょうかね。しかし、一般人でも、月が二つあるとか、そういうことを言う人もいますが、そのことにより、本人が日常生活をしていかれなくなるのでなければ、自由に空想したりしても、別に異常ということにはなりませんから。すみません。そろそろ病棟に戻らないと。本人を呼んできますから」

To Be Continued

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