eye

2015/03/20

マリア現る

いつの間に現れたのか、そこには黒みがかった綿のような大きな雲が横たわっていた。

右手の池の向こうには造りかけの陸橋が見えたが人影はなかった。春利のベンチの周辺は芝生が広がり、転々と葉桜や常緑樹の立木があり、周囲を巡る路の左手には金網で囲まれたグラウンドが見えるが、そこにも人影はなかった。

春利の目は順応していたが、辺りは春利が感じているよりは暗くなっていた。後から確認すると、春利は腕時計の針を1時間見誤っていた。

ヒュンヒュンという唸るような音が上空からしていることにその時春利は気づいた。

「誰か、僕に、何か言った?」春利は上空を見つめていた。

「気づきましたか。私があなたの前に現れたのは2度目です」

「あなたはいったい誰? 雲の上にいるんですか・・」

「そうです。人間の目につかないよう、わたしの乗り物はこの大きな雲の上にいます」

「2度目だと言ったけれど、いったいあなたは誰ですか?」

「あなたの部屋に行ったことがあります」

「僕の部屋に・・。もしかして、直接ではなくて・・」

「そうです」

「マ、マリア・・」名古屋で会社に勤めていた頃、アパートのパソコンの画面に、大きく映し出されたことがあった。来未ともそのことについて話した。あれは、やっぱり、夢ではなかったんだ。画面のマリアは深い眼差しで春利を見つめていた。そしてあの時、マリアの二つの目の端から涙がこぼれて頬を伝って落ちた。

「わたしはあの時、あなたの未来に起こることを告げたかったのです」

「僕の未来? それはもしかして」

「そうです。しかし、それを伝えることはできませんでした」

「あなたは、あの地震が起きることを、そして、来未が津波にさらわれることを知っていたと・・」

「そうです」

「あなたは、神なんですか?」

To Be Continued

Sponsored Links

コメント

非公開コメント