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2015/05/15

別な空間

春利がミナから連絡を受けたのは一か月ぶりだった。スマホに入ったメールには、遅い時間だけど、パソコンにスカイプで連絡しても良いか、と言ってきた。

「気になることがあるので言ってもいい?」
ミナの生徒だった渋江カナが退院して、先月末にフィンランドへ発ったという報告を、画面に映し出されたミナの顔を見ながら聞いた春利は、思い切って口にした。

相手が大きく頷いたことでほっとした春利は深く息を吸った。

「カナさんて、一重まぶたで目元が涼しいというか凛々しいというか、それで、笑うと、左側の口元にエクボが出来る人じゃないかな?」

「ええ。沢さん、貴方も・・」

「いえ、こんな体験は初めてだけど、4日前、ベッドで寝ていたことは確かだけど、会ったこともない女性が夢に出て来るなんて。それが、その夢の中で、わたし、フィンランドへいくことになったんですって、その女性が言った時に、口元にエクボが出来て、それが、鮮やかに記憶されていて、夢とは思えないっていうか」

「沢さん、それは夢ではないかもしれないわ。私は、そうしたことが良くあるから。昼間でも」

「夢ではない、ということは」

「その時、別の空間にいった」

「別の空間。早乙女さんはそういうことがよくあるんですね」

「ええ、今では特に違和感もないわ」

「じゃあ、僕が見た人は、間違いなく、その、渋江カナさんで、彼女は6月末にフィンランドへ発ったんですね」

「ええ。カナさんは、入院中にお母さんに頼んで、留学先について調べてもらっていたみたい。それで、パスポートも持っているし、退院してすぐ手続して。だから、私が相談を受けたと言っても、予定は進行していて、フィンランドの大学が提供する夏季の語学コースに行ってスウェーデン語をやるという方向に」

「その後は・・」

「ええ。その後、本来なら9月入学は、1月から3月の間に手続きをしないといけなかったんだけど、事情もあるし、日本からの留学ということで、私がアメリカ留学で知り合った友達を通して、便宜をはかってもらえるか、お願いしてみたところ、現在フィンランドの大学で講師をしている知人が動いてくれて、決定はしていないけれど、たぶん大丈夫だろうって」

「それは、良かったですね。それで、何を専攻したいと?」

「それが、沢さんのお父様と同じ、神学を」

「えっ、カナさんは、早乙女さんの大学では、理工系でしたよね?」

To Be Continued

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