eye

2015/06/18

別な空間

春利が座ったのは、赤土がむき出しになっている場所にあるベンチだった。

数メートル離れている春利の隣りのベンチには、今しがたまでツーベースで野球遊びをしていた子供たちが集まっていたが、帰る時間を決めていたらしく、ベンチの荷物を取り上げると、それぞれの自転車にまたがって散って行った。

春利はベンチに腰掛け、遠くの方でキャッチボールをしている中学生らしい二人をぼんやりと眺めていた。
「おい、そろそろ帰ろうぜ!」ボールを外した方が、追いかけながら叫んだ。速いボールだと見逃してしまうほど暗くなっていた。

春利は、背もたれに上半身をゆだねていたが、視線は上空に向かっていた。

と、その時だった。空の一角に何かが現れた。雲が所どころに点在していたが、それが現れた周囲には雲は見当たらなかった。春利はその物体がどのような形をしているのか判断できなかった。相当高い所にあるようだったが、次第にゆっくりと降下してきた。

上部の方がオレンジ色の光を放っていて全体が楕円形の様な形をした物にも見える。春利は最初、照明弾か花火かなあと思ったが、それにしては、高い所にあるし、消えないどころか、より形を鮮明にさせていた。

しかし、次の瞬間、春利はハッと息をのんだ。その物体が向きを変えたのか、大きな楕円形の周囲に窓の様なものが並んでいるのが分かったからだ。そして春利が更に目を見張ったのは、その大きな物体の下から球形に光る物体次つぎと紐のように下へさがって来たと思うと、一番下の物体が光りながらその紐のような部分から左の方へ離れて行った。

その有様は、地上の人間に何かを誇示しているいるようにも思われた。

春利は、視線を公園に戻した。草が一面に生えている広大なエリアの周りには背の高い常緑樹が取り囲むように茂っていたが、人の姿が見当たらなかった。

「おかあさん、あれ、何?」春利が掛けているベンチの後ろの方で声がした。振り返ってみると、後方の通りの方に親子連れがいて女の子が上空を指さしていた。

「あっ、ほんとうだ、何だろうね」

親子の会話はそこで途切れ、家路を急ぐ母の声がしばらくしてから聞こえた。

To Be Continued

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