eye

2015/06/23

別な空間

春利はその間に腕時計に目をやらなかったから、実際どれくらいの時間がたったか曖昧だった。
だが、声のする方へ目をやり、再び上空を見上げた時には、もうその物体は見当たらず、月は雲に隠れ、西の方に金星だけが輝いていた。

春利は立ち上がり、公園の周囲を巡る舗装された道を歩き出していた。

バス通りに出て住まいの方へつづく脇道を歩きながら、
「何もメッセージは聞こえてこなかったな」と内心で呟いていた。

以前新横浜公園の上空に現れたマリアと今回のものとは、まったく関係がないのだろうか。別な種のエイリアンの乗り物なんだろうか。

帰宅したその夜、春利は容易には寝つけなかった。背後の親子も目撃していたことが、錯覚でない証拠だと思った。そばにいたのなら、あの上空に現れた物体について話したかった。

翌朝目覚めたのは10時近かった。明け方まで熟睡できなかったせいだと、目覚めてしばらくして思い出した。11時半頃、朝食と昼を兼ねたような食事をした。ご飯を口に運びながら、自らの中にある既成概念というか、それまでそれが普通だと思っていたことが壊れかけているような、妙な不安に駆られた。

食器を洗い終えると、パソコンを立ち上げた。昨日上空に現れた物体について、何か情報がないかさがした。しかし、昨日のことについてのものは見つからなかった。これまでに、国内だけでなく世界で同様の物体というか光景に出合った人がいないか、動画サイトで検索してみた。

見つかった。ブラジル、ポーランド、ドイツ。春利が見た光景と非常に良く似ているものが映し出された。やっぱり、あのような乗り物で来ているんだ。春利以外に、過去に世界各地で見た人がいた、とほっとした。オレンジ色に光っていた上部の楕円形のものが母船で、それからスペースクラフトが次つぎと出てきた。実際、母船は相当高いところでホバーリングしていたに違いない。巨大なスペースシップなのだろう。

塾用に使っている部屋の掃除をしていると、あっという間に5時を回っていた。中学生が来る前に食事をとっておかないと仕事中空腹で力が入らない。ネットで注文した無洗米を電気炊飯器に1合セットした。汗が出てきたのでクーラーを点け、フライパンに卵を2個割って入れた。生野菜は昨夜最寄りのコンビニで買って来た物がある。やはり味噌汁をつくろう、とつぶやく。

To Be Continued

Sponsored Links

コメント

非公開コメント