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2015/07/12

別な空間

子供たちが夏休みに入り、春利はその日の午前と午後の授業を終えた。

上海から帰国して初めての夏季講習だった。上海にいたときは、日本に帰り会社を辞めたらインターネットで何か仕事をやろうと思っていたが、具体的に始めたのは学習塾だった。

やっていかれるか不安だったが、夏季から生徒数も小4に男子が2人加わり6人になった。家庭教師の経験はあったが、中学受験の経験がない春利の個人塾へ何故来るのか不思議だった。入塾した2人の男子も中学受験をすると言っている。狭い団地の部屋を利用してのことだから学年と人数を限定していると、問合せの父兄には伝えた。中3の父兄からも電話が入ったが、時間とスペースが限られているからと断った。夏季講習から中1も6人に、中2は7人に増えた。

簡単なホームページで学年を限定して案内していたが、広告費は一切かけていなかった。口コミで広がったのかなあ、とコーヒーカップを傾けながら春利は思う。

気分転換に表へ出た。歩いて数分の所にファーストフード店が複数ある。夜の9時を回ったところだから、ひょっとして生徒か父兄に会うかもしれないが、構わないと思う。まだ夕食を取っていなかった。

店に入ったが、顔見知りの顔はなかった。会社帰りの社員と年金受給者と言った感じの男性だけだった。牛丼の並に野菜サラダとみそ汁。それで充分だった。

少し体を動かした方が良いと思い、横断歩道を渡り家から遠ざかる向きに歩いた。30分余り歩いたが、すれ違うのは見知らぬ人ばかりだった。

帰宅してシャワーを浴びた。翌日の午前中の授業の準備は出来ていた。クーラーを弱く点け、ソファに体を預けた。すぐの所に生徒たちが座る長椅子とホワイトボードが見える。早乙女さんは今どうしているだろうかと思う。教えている大学はまだ夏休みになっていないから、帰宅して授業の準備をしているだろうか。・・

春利は、今まで行ったこともない世界に来ていた。傍らには若い女性がいたが、誰かは分からなかった。しかし、数メートル先にどこか変わった人たちが5、6人寄り合って立っていた。顔が違っているようだ。

To Be Continued

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