eye

2012/02/04

クリスマス

荘太はぶるんとかぶりを振った。荘太の中にいるさなえは、ずっと生き続けている。20年あまりずっと呼吸している。上の階の親しかった旦那から届いた賀状のことを思い出す。その後、春利の就職が決まり団地を引き払って転居したことも同じ旦那からの賀状で知った。

数日前にも少ない数ではあったが荘太は賀状をポストへ投函した。その中には、荘太が家族で住んでいた団地の旦那宛のものもあった。荘太も賀状だけは必ず出していたので、電車の運転手を続けている上の階の旦那も最低限の情報は知らせてくれた。

それにしても、荘太より6歳年上だったとはいえ、看護師をしていて気丈だったさなえが心臓の病気であっけなく亡くなってしまったことがいまだに嘘のように思われる。

荘太はさなえに追い出される格好で家を出たが、その後誰とも一緒に住みたいとは思わなかった。そんな生活力はないことを自覚した。それが自らに与えられた道だと思った。生活力が希薄で依存心が強い荘太に神が与えた試練なのかもしれない。それ以上誤った生き方をするべきではないと自らに言い聞かせた。

子供同士が遊び友達だったことがきっかけで運転手の旦那と親しくなったが、それが縁で妻と息子についての最低限の情報が得られたことはありがたいと思った。
「桑田さんに知らせて良いものか・・」と彼が書いてきた賀状の言葉を荘太はふたたび思い出す。

遅い朝食を済ませて食器を洗い終えた。10時半になるところだった。

と、その時、点けっぱなしで画面が節電モードに変わっていたノートパソコンが突然鳴り出した。


To Be Continued

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