eye

2015/10/16

夢と別な空間

遠くの方で、まだ塾は休みだからという安心感があった。

春利が家を出た時には辺りはもう明るくなっていたが、時間はまだ5時前だった。半ば催眠術にでもかかっているような状態だったが、足は昨日通って来た岸根公園へ向かっていた。新聞配達の原付とすれ違ったが、歩道を歩く人の姿はなかった。夢であるなら戻ればいいと自らに言い聞かせた。

車止めのポールが並ぶ公園の入口へ来た。舗装された広い道の向こうには広大な芝生が広がり、ところどころに背の高い樹木が点々と茂っている。桜の古木の横に自転車があり、ベンチから立ち上がった老人が体操を始めた。

誰もいないところが良いだろうと、春利は芝生を突っ切り向こうに小さく見えるベンチを目指した。意識はぼんやりしているが、それが夢ではないという自信があった。

樹木の間に置かれているベンチにたどり着いた時には額に汗がにじんでいた。腰掛け、突っ切って来た広い芝生の向こうに眼をやると、先ほどの老人の姿は見当たらなかった。

「私は今まであなたといくどかコンタクトを取っている。朝早く公園に行きなさい。見せたいものがある」

夢かどうかは分からなかったが、言おうとしていることがは直感できた。公園とはあそこで、いくどかコンタクトを取っていると言ったら、シャンハイでのあの存在に違いない。

ベンチに座ったまま恐るおそる上空に眼を上げた。ところどころに綿のような雲の固まりがあった。上空から、誰かいるかどうかは彼らにはすぐ分かるに違いない。

と、いつの間に現れたのか、雲のすぐ近くに淡い銀色の点のような何かが見えた。飛行機でもヘリでも鳥でもないことは春利にも分かった。

点が次第に大きくなり、ゆっくりと移動しながら辺りをうかがっているように春利には思われた。目を下に落とし、広い公園を見回したが人の姿はなかった。

次の瞬間、淡い銀色の物体がすっと真上に降りて来たかと思うと、春利の身体がとつぜん宙に浮きあがり、気づいた時には、不思議な乗り物の中にいた。

「これから、キミを、キミたちが縄文時代と呼んでいる世界に案内する」

To Be Continued

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