eye

2015/11/09

夢と別な空間

春利はミナを迎えに地下鉄岸根公園駅の出口に立っていた。ミナとは昼食について話さなかったが、近場に複数あるのでどうにでもなると思って食べないで来た。

時計の針が12時時近くになった時、足音とざわめきがして降車客が階段を上がって来た。やがてミナの姿を認めて春利はほっとした。

「僕が座っていたベンチ辺りが良いですね」

「そうね」

「あの池の下が、いま早乙女さんが降りた所」春利は鴨が群れを成している左手の池を指さした。

「あっ、そうなんだ。沢さん、意識もはっきりしているわね」

「いや、早乙女さんと話せると思うと気持ちが元に戻ったんですね」

二人は舗装された坂道をゆっくりと上って行った。

「緑が多いこともあって、まだ蚊がいるから気をつけて」

「長袖を着て来てよかったわ」

「夏の終わり頃って、蚊も必死なんでしょうね」

「ええ。生きるっていうことは、どの生き物にとっても大変ね」

舗装された歩道の両側には背の高い樹木がどこまでも続いている。

「ここは、大きな公園なのね」

「ええ。戦後は米軍に接収されていたけれど、その後25年以上たって全体が解除され、買収により取得した民有地とで、こんなに広い公園になったと聞いています。芝生広場や運動広場と、向こうには軟式野球場、それに先ほどの池の向こうの道路に近い辺りには県立武道館もあるし」

「沢さんは小さい頃はここには?」

「母といくどか来たことがあります」

「じゃあ、思い出の場所でもあるのね」

「ああ、あそこ。あのベンチに腰掛けて・・」春利はちょっとした林になっている樹木の間から見えるベンチを指さして言った。

To Be Continued

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