eye

2016/02/14

八ヶ岳山麓

金星を示す円形の庭石は80センチはあるだろうかと春利は思った。

その石を最初に左にカチッと音がするまで回し、音が確認できたら今度は右に音がするまで回す。そう出来なければそれは金星ではない。カナの言った言葉が浮かぶ。

春利は大きな丸い石の側に腰を下ろした。石の側に靴の足跡みたいなものが残っているようにも見えるが錯覚だろうか。門扉に鍵はかかっていなかったら誰かが勝手に入ってくることも考えられる。とにかく回してみよう。

春利は、栗色の丸い石にそっと両手をかけた。厚さは3センチ位だろうか。手に伝わって来た感触は、見た目とは違い石の冷たさではなく人工的な何かを感じた。

円形の両サイドを握り、ゆっくりと左へ回した。思ったよりスムーズに回った。カチッと音がした。今度は右へ回した。左と同じくらい回したが、音がしない。もしや間違えたかと不安になったが、さらに回してみた。180度くらい行った所でカチッと音がした。春利の心臓は高鳴っていた。

大きく息を吐き出した。確認できたら石の中央に乗り、しゃがんで膝を抱えるようにする。カナの言葉がよみがえる。この石は不思議と周辺の土の色と同じだ。

春利は静かに石の中央に乗りしゃがんで膝を抱えた。すると直ぐに石の外側から数センチ幅の周囲を残して石は下降し始めた。5秒としない間に春利は家の中の通路のような場所に着いた。

春利が降りると、石はスッと上へ移動して行った。辺りは意外に明るかった。春利はそこから広がっている空間の方へと歩いて行った。その部屋のような空間の壁には電気のスイッチは見当たらなかったが、とても明るく、壁に沿って木製のカウンターやテーブルがあったが、実験設備のようなものは何もなかった。

谷川良治が来た時も、こんな感じだったのか。その後改造されたのかもしれないが、何か機械装置のような物は残っていないだろうか。春利は突き当りの壁まで歩いて行った。カナが何か言っていなかったかと夢の中の記憶をたどった。これ以外に部屋はないのだろうか。無意識に壁際まで歩いて行ったが、その意味を考えた。カベ・・。そうだ、壁にさわる。降りた所から部屋を見てちょうど反対側の壁だと言っていた。

春利は眼前の壁を見た。一面ミルキーホワイトで目印らしきものは何も見当たらなかった。降りた位置から部屋を見てまっすぐ突き当りと言えば。振り返って確認した春利は眼の高さの壁に右手を当てた。

と、次の瞬間、春利の足元に下へ続く階段が現れた。魔法のようだと思いつつ春利は階段を降りて行った。

To Be Continued

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