eye

2016/02/18

八ヶ岳山麓

下り切ったところには壁が立ちはだかっていた。春利は向こうに部屋があるのでは、と思われる壁をノックしてみた。コンクリートというより軽い合金のような材質を感じた。ここも、と春利は右手を開いて顔の前のそこへあててみた。

と、眼前の壁がスッと消え、ちょうど人が通れるくらいの入口ができた。部屋の中は程よいくらいの明るさで見覚えがあるような光景が春利の前に広がっていた。

「部屋の中に円柱形のような装置や機械が並んでいて、コイルみたいなものもあるけど、具体的にどのようなことをするのかは分からないわ」春利は以前ミナが言ったことを思い出した。

谷川良治が来たのはここだったのか。目の前の円柱形のものが時空装置かもしれない。良治は、伯父の渋江真佐雄氏からその操作方法を教わったのか、あるいは中へ入っていろいろ触っているうちに突然作動したのか。

春利は入口に立ったまましばらく装置の方を見ていたが、全体を見て回ろうと部屋の中へ踏み込んだ。

と、装置の向こうで何かが動く音がして人の気配がした。

「だ、誰かいるんですか?」

「私だよ」声と同時に装置の陰から突然人が現れた。

「と、父さん、どうしてここに?」

「春利こそ、どうしてここへ?」

二人はしばらく見詰め合っていた。

「私は、家から近い桜並木を散歩していた時、上空に光る物体が現れて、ここを案内してきたんだよ。私の生家から歩いて30分とかからない所に、こうした家があるなんて・・」

「僕は、夜中に寝ていた時、夢か別の空間か分からないけれど、小学校で同じクラスだったことがある谷川良治という人といとこの、以前父さんに話したことがあるカナという今はフィンランドへ留学しているはずの人からの知らせで・・」

「ここへ来ることになった」

「そう」

「それは、春利。偶然なのか、すべて分かっている存在が・・」

「偶然にしてはあまりにも」

「うん。今も、上空で見ているかもしれないな」

「それで、父さんはこの装置が何かを知っているの?」

To Be Continued

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