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2016/03/22

夢のしらせ

来未の姉・梨花と東京駅で会ってから2年半近くになるだろうか。梨花とはその後何の連絡も取りあっていなかった。来未の姉・梨花とは同学年だが、春利より半年余り年上だったことを思い出した。

梨花は、春利が現在も上海に勤務していることとしてメールしてきた。

行方不明の両親と来未は見つからないままだが、東日本大震災の被災者には特例措置として、行方不明者の場合でも死亡届が受理されれば生命保険金を受け取れることになり、そのお陰でいわき市の市営墓地にお墓を用意出来たが、両親と来未の3人の遺骨のない墓参りをしても空しい、と。

メールの後半には、梨花は郷里を離れ横浜市戸塚の駅に比較的近いマンションに住んでいる、と。そこまで読んだ春利は、現況を記してすぐに返信した。二つの電話番号も知らせたので、すぐに連絡が取れるだろうとうれしい気持ちになった。

トーストと野菜で簡単な朝食を済ませた春利は、大きく息を吐き出した。何か連絡があるかもしれないと、朝食の前にパソコンとスマホをチェックする週間がいつの間にかついていた。

震災では寺や墓地も流されたところがあったという記事を思い出した。家ごと家族が津波に持っていかれた場合、そして遺体も行方不明のまま数年たったとしたら、生き残った人の思いはどんなだろうか。福島の場合、それに放射能汚染の問題が大きな影を落としている。県内に転居するといっても拭い去れない問題だ。

両親や妹が行方不明のまま家もすべて流されてしまった。伯父が始めた工務店の事務員として伯父が病死した後も勤めていた職場も辞め、思い切ってこの4月に横浜へ来たという。

返信後、春利はいくども梨花のメールを読み返した。じっとしていられなくなり、固定電話を留守電にして家を出た。足はいつも訪れる岸根公園に向かっていた。

僕の運命というやつは、いったいどうなっているんだ。春利は上空に眼をやった。あのお方、マリアは僕を見ているんだろうか。秋晴れの良い天気で、空飛ぶ物体は春利の肉眼ではとらえることが出来ない。前方を行く家族連れが横断歩道を渡り公園に入っていくのが見える。小学生が両手にボールを抱えている。自転車にまたがった子供たちが公園沿いの歩道を下の方へと移動して行く。武道館へ向かうのだろうか。

To Be Continued

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