eye

2016/03/28

夢のしらせ

空いているベンチを目指して広い芝生を横切っていた時、ボケットで着信音がした。

「石橋梨花です・・」

「沢です。ご無沙汰」

「市内なので自宅の方に電話してみたんですが、留守電になっていたのでこちらに」

「それで、今はどちらに?」

「いま、JR横浜駅の改札を出た所です。日曜だったら時間が取れるとメールで読んで」

「それじゃあ、僕は今、地下鉄の岸根公園駅のそばの大きな公園に来ていますから、良かったら、そこから西口の方に出て、地下道から地下鉄でこちらへ来られますか。地下鉄の岸根公園駅出口2で待っていますから。・・30分もかからないと思うから・・」胸の高鳴りを覚えながら、春利は公園の周囲を巡っている広い歩道に出てゆっくりと公園の下の方にある駅へ向かった。

ぐるっと巡り、舗装された坂道を降り切ったところに地下鉄の岸根公園駅出口がある。

出口2に近づいた時、春利はこれまで気づかなかったことに思いが行った。ミナが岸根公園へ来た時、春利は地下鉄の出口が一つだと思っていたが、その後四つあることが分かった。あの時ミナには出口の番号を知らせなかった。それなのにミナは途中で春利に問い合わせることもなく春利の待つ2番出口に現れた。

やっぱり、ミナには特殊な能力が備わっている。と、その時、大勢の人の気配がして人の姿が現れた。地下から上がって来るときはエスカレーターを利用する人が圧倒的に多いだろう。その人の群れから少し遅れて、見覚えのある梨花が現れた。二人は目線で頷きあった。

「ここが篠原池で、この真下に、梨花さんが下車してきた駅があるんですよ」春利はそう言いながら、ミナが来た時に同じことを言ったのを思い出し横を向いて苦笑した。梨花はこっくりして側の池を眺めた。池の中ほどに架けられている木製の歩道の下を鴨が数羽泳いでいる。

「こちらの方から行ってみましょうか。あれが県立武道館です」春利は降りてきた歩道を上がらずに幹線道路に沿っている歩道を進んで右手を指さした。

「私、沢さんはまだシャンハイにいるものとばかり思っていました」

「僕も、梨花さんは福島で、伯父さんがやっていた工務店で経理事務を続けているものと思っていました」

「不思議ですね。私は家族がいなくなった郷里をいったん離れてみようと思った時、なぜかヨコハマが頭に浮かんだのです」

「そうでしたか」

To Be Continued

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