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2012/03/31

新横浜駅前公園

桑田は来る途中「猫にエサをあげないでください」と看板が立っていたことを思い出す。コンクリートの上に撒かれた粒を次つぎと吸い取ってゆく猫を見ていると、じゃあここに捨てられた猫たちはどうやって生きて行けばいいのか、公園内に猫たちの空腹を満たすエサがあるのだろうかなどと桑田は思う。

悪いのはここに猫を捨てに来た人ではないのか。

10メートルほど離れたフェンスの下に三毛猫が現れたが、警戒して近寄っては来ない。

「お宅はこの辺によく来ますか?」
桑田は戻ってきて隣のベンチに座った男の方へ言った。

「俺は、この向こうの、生活保護の住宅に住んでいるんだ。こんなのいくらのもんでもねえから、週に1回か2回来るんだ。ふだんはいつも餌をやりに来るおばさんがいるんだ」

「毎日来るのでしょうか?」

「そう、今日はどうかな」

確かに、31日だと家族がいる人だといろいろと忙しい日だから、来ないかもしれないな、と桑田は思う。

「お宅は前からそこに住んでいるんですか?」

「俺はここへ来る前は千葉の方に住んでいたが、1年前ほど前にこっちへ来て仕事探していたが、胆石になってあそこに入院したんだ」

男はみぞおちの辺にちょっと手を当て、視線は川の向こうへ向かっていた。スタジアムのずっと右の方に労災病院の名前が建物の上に大きく出ているのですぐにそれと分かる。

「じゃあ今でも通ってるんですか?」

「いやもう大丈夫。それで仕事探しているんだ。65とかなれば言われないけど、仕事探してるかチェックされるから」

「生活保護は、受けるにはいろいろと大変だったでしょう」

「それは、銀行口座から何からぜんぶ。・・いろいろ引かれると月4万くらいかな残るのは」

「お風呂もあるんですか?」

「共同風呂がね」

「食事もお風呂もあるんだと良いですね」

「まあね、ただ、こっちへ来て見て、車の免許もないんじゃなかなか仕事がね」

男は50代後半だろうか。いろいろ引かれて4万円手元に残るんだと桑田の年金より多いが、どんなボロにせよ持家もないし貯金もなくて仕事を探しているんじゃ大変だと男の横顔を見る。

ばら撒かれた餌を食べ終え、舌をペロペロやっているぶち猫の側へレギンスの似合う若い女の子がやってきてしゃがんだ。


To Be Continued

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