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2016/08/17

古(いにしえ)と結ぶ

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タダキが親子3人で両親の住む母屋の納屋に向かった後、半長靴と軍手を借りた春利は巨石の側の土にスコップを立てた。足を掛け力を入れた。草がはびこっていることもだが、地面から数センチ行った所は石のように固かったが、春利は場所を替えいくども挑戦した。

「雪は少ないが、下は凍っているんじゃないか」後ろで伯父の声がした。伯父夫婦とタダキの家族も一緒に戻って来た。

「よし、俺がツルハシで先ずやってみる」タダキが適当な所へツルハシを振り下ろしていった。膝が痛そうな伯父にやらせるわけにはいかないと、春利がタダキと交替した。次にスコップに持ち替え二人で交互に土をすくい上げた。伯父もジョレンで土を移動させた。

「この辺でちょっと確認させてもらっても良いですか?」1時間余り掘りつづけた時、春利は巨石についている真っ黒い土を小さなスコップで落としながら巨石の下に何か書かれていないか調べた。

「これ、大石をその穴へ転がしたら下側が見えるんじゃないか」それを願っていた春利が大きくうなずいた。一人では到底できないことだった。

「これは、向こうから全員で押しても無理だな」

「伯父さん、てこの原理」

「そうだな。適当な丸太を2、3本探してくる」

「申し訳ないです」

「ここまで来たらやるしかないだろう」タダキもそう言った父親の後について母屋の方に向かった。

春利は巨石の下の霜柱の混じる土を可能な限り取りのけようとスコップを手に作業を続けた。

「この大石、八ヶ岳から噴出した安山岩か何かでしょうか?」タダキの妻がそう言って取って来た汗拭きタオルの一つを春利に渡した。

「すみません。僕にもまったく分からないけど、噴火で飛んできたのか、運んできたものなのか」

「運んできた。・・昔からあったっていうけど、いつぐらいからあったのかしら?」

「ここに先祖が住みついたある時期に、運ばれてきた。あくまでも僕の空想ですが」母親の側で聞いていた来年小学校に入学するというつぶらな瞳の女の子が空を見上げた。

To Be Continued

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