eye

2016/10/20

新たな遭遇

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春利の後ろを会社帰りの中年男性がせかせかと行く足音が聞こえる。

と、上空で何かが光ったようだった。雲間に星も見えるが多くは雲で覆われている。来たのかな?

心臓がドクドク打っていたが、春利は上空から眼を反らすことが出来なかった。しばらくして、気になってベンチの周囲に眼をやった。春利の眼も暗闇に適応していたが、人の姿は見当たらなかった。前方の樹木で囲まれた広い芝生の向こうに常夜灯の明りが霞んで見えた。

来るとすれば、周囲に人影がないことを確認しているに違いない。・・

「いま、あなたの上空の雲の上にいる。すぐにそこへいく」

上空から伝わって来た意思を受け止め、春利は緊張した。すると、雲のあいだから灰色の円盤が姿を現した。思ったより小型のそれを見つめていると、春利の方へ白い光の帯が向けられるのを感じた。

と、同時に春利の身体は上空に吸い上げられていった。

気がつくと、春利は乗り物の室内にいた。

「そこへかけてベルトを締めなさい」

春利は言われたとおりにした。6畳間くらいの室内には、意思を伝えてくる存在の他に二人の宇宙服に被われた者がいたが別な方を向いているようだった。

「それで、今回はどのような用事で僕をここへ?」

「あの方が、あなたにアフリカを見せるようにと」

「あの方とは、もしや?」

「そう、あなたたちがイナンナと呼んでいるお方だ」春利は、意思が伝わって来た相手の方を初めて正面から見てギクリとした。つりあがった大きな眼は人間とは明らかに違っていた。宇宙服のカバーを通して相手の口を見た時、春利は思わず記憶をたどっていた。法隆寺のトカゲのそれ。気が遠くなるのを春利はかろうじてこらえた。

To Be Continued

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