eye

2017/02/17

ミナの行方

「彼らの乗り物に乗っているときの時間の経過について、私には科学的な解説は出来ないけれど、賀茂川の岸辺に降ろされ、家に帰りついた時、家の時計は8月20日朝の5時前だったわ」

春利がミナから連絡を受け、新横浜駅で待合せたのは9月の最初の日曜日だった。二人は新横浜公園まで歩き、そこでゆっくり話そうということになった。

「8月12日の夕方に賀茂川の岸辺に行き、そこで彼らの乗り物に乗り、途中でプアビさんがいる巨大なマザーシップに乗り換えて、名前は分からない惑星Xへ行ったというのですね」

「ええ。惑星Xに降りる前に、プアビさんの指示に従って、宇宙服を身に付けたわ。彼らはあの星では宇宙服を着ないで生活できるのね」

「どこで、どこで生活しているんです?」春利は自らの声が大きかったのかもしれないと、2人が並んでかけているベンチの周辺に目をやった。日曜日の午後2時近いその時間、背後の舗装された周回路を半袖にショートパンツ姿の若者が5、6人額に汗を浮かべて駆けて行った。

「地球上と同じように、地上にも地下にも住んでいるみたい。私が案内されたのは、地球で言うと近代的な寺院のような地上の建造物で、地球のどこかにいるような、不思議な気持ちになったわ」

「ミナさんは宇宙服を着て、プアビさんや彼らはどんな姿で?」

「地球でいう、パワースーツみたいな感じだったわ」

「プアビさんも?」

「ええ。プアビさんは長身で眼が大きく、頭は何か被り物で被われていたわ。受信装置みたいなものが入っているのか分からないけど」

「じゃあ、その星の皆は、姿かたちは人間に近い・・」

「そうね。ただ、人よりはずっと進んでいるテクノロジーというか知性というか、だいぶ差があるってことは分かるわね」

「それは、ある意味こわいですね」

「ええ。人間は、想像もつかないくらい遠い昔に、彼らの訪問を受け、彼らから多くのことを学んでいた。複数の種が地球を訪問していたけれど、いつのまにかそのことが忘れられてきた。そして、作り話の世界のようになっていった」

「でも、それはすべて本当のこと」

「ええ。プアビさんは、そのことは地球の壁画や絵画やレリーフやテラコッタの中に今でもしっかりと残されている、と」

「そういうことなんですね。僕らは、その事実を忘れ、信じようともしなくなっている」

「ただ、きれいごとでない現実があった。おそろしい殺戮も繰り返されたとプアビさんは教えてくれた」

「神と言われたET同士、あるいはETと人間の間で、ということ?」

「ええ、双方で」

To Be Continued

Sponsored Links

コメント

非公開コメント