eye

2017/03/12

テレパシー

中学生の数学の授業を終えた春利は、10分ほどして表へ出た。辺りがとても暗く思えた。

見上げると空の半分近くが雲で覆われていたが、雲の切れ目に星が見えた。
新横浜公園までは早足で歩いても40分近くかかった。

「あした行くよ」とミナの声が頭の中で響いたことをいくども思い返す。

不安だったが、ミナの声で伝えてきたのだから、悪いETではないだろう、と自らに言い聞かせた。

それにしても、他人の声でメッセージを伝えて来るってどういうことなんだろう。

陸橋を渡り、公園に近い幹線道路の歩道まで行った時、たまに来るニトリのシャッターが下りているのに気付いた。

会社帰りと思われる男女とすれ違い、彼らはどんなことを考えながら帰路についているんだろう。
僕とは全く違う世界にいるんだろうな、と思わず振り返る。

怖いけど、自然にそちらへ引き寄せられていく。

スタジアムにつづく石段を上がり、前方にそびえる円形の建造物に眼を向ける。
通路もスタジアムもライトでしっかり確認できる。怖いのに足だけは速まっている。

スタジアムの周囲を巡る通路から広いコンクリートの坂を下り、中央広場に出た。
相手は、こんな時間に僕が来ることを知っているだろうか。草地広場を横切り、昨日ミナと並んでかけたベンチへ向かう。
足音がして振り返ると、トレーナー姿の若者が走ってくる。等間隔で並ぶ常夜灯で数十メートル先まで見える。

「来たよ・・」昨日のベンチに掛けて恐るおそる顔を上げた。雲は減り、スタジアム方向の上空には星もちらほら見える。

「僕だよ。分かるかい?」

「えっ?」

「谷川良治」

「たにかわりょうじ・・」

To Be Continued

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