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eye

2017/09/07

地下世界

八ヶ岳の地下世界。春利は内心で呟き、草の生えた大地に手を広げた。

この山麓のどこかに地下への入口があるのだろうか?
春利は先ほど同時に下車した登山客の姿を追った。樹木で見えなくなっていた。
次のバスは当分やって来ない。そのまま帰るのだと、先ほどのバスセンターへ戻れば良い。

春利は上空に何かの気配を感じた。鳶だろうか。羽を広げた黒い固まりが雲の下を移動してゆく。

と、その時だった。上空の一点が左回りに回転し、春利は眩暈を感じた。
気のせいかな、と思ったが、回転が大きくなり、とつぜん雲間から灰色っぽい球体が現れた。

地底人も地上に来たときは空飛ぶマシンを利用している。
そうした思いが春利の脳裏をかすめた。

春利の体はゆっくりと光の渦に吸い上げられていた。

「僕をどこへ連れて行くつもり?」
眩暈を覚えながら、春利はマシンの床で言った。

「アナタが望んでいた場所へ」
人間の姿に似た春利より背の低い生き物が応えた。

「僕の望んでいる場所へ」

「そう。地下都市」

「山の下に地下都市があるの?」

「ある。そこへ案内する」

「山の中に入口があるんではないの?」

「あるが、人間には分からない」

「あなたは地底人」

「わたしはロボット」

「どうして、僕が今日来たことを知っているの?」

「あるカタから、たのまれた」

「誰から? サオトメミナさんではないよね?」

「ちがう。とにかくそこへすわりベルトをしめて」

「イナンナ?」

「そう呼んでいるニンゲンもいる。アナタにも、そのことを知らせておきたいらしい」

To Be Continued

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