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2013/04/29

フロリダと日本

帰宅した桑田は、ラジオを点けっぱなしにして地震のニュースに耳を傾けていた。

震源は、岩手県沖から茨城県沖までの広範囲に及んでいるらしい。電話がつながらず、道路を車が走れない状況では被災状況を把握することは難しいと思われる。

ニュースでは、津波への注意を呼び掛けているが、太平洋側の被災地の人々はラジオを聴く状況にあるのだろうか。

通話は駄目だが、メールが入ったという声もある。

夜になり、地震の大きさも当初報道された時より大きいのではないかというようなものになり、被害の状況もあいまいだったが、それほど大きなものだったということなのだと桑田は思った。

安否情報の取り方が案内されている。


3.11は金曜日だったが、日曜日の午前10時頃、桑田が食事中にフロリダのサト子から電話が入った。
スカイプに切り替えるからと伝え、急いでノートパソコンのボタンを押した。

フロリダは夜でサト子は仕事が休みだから電話してきたのだった。

「サト子さんの郷里は、地震の被害はなかったの?」

サト子は、「うん」と小さく応え、短い沈黙がつづいた。サト子が岩手の出身だということは聞いていたが、それ以上のことは知らなかった。

親せきに被害者が出れば黙っていられない性格のサト子を知っていたから、岩手県も震源地に近く被害はだいぶ出ているのではないかと思われたが、サト子の生家は内陸で、津波の影響もない地域で、サト子と籍の入っている母親はすでに病死したと聞いていたが、父親や弟、親せきは無事だったのだろう。電話がつながらなくても、スカイプかメールで親せきの若い誰かと連絡が取れたに違いない。

「ロバートはまだ仕事から帰っていないのよ。パソコンの研修に行っていて。パソコンで処理できないといけないから大変みたいよ、試験があって」

桑田が、同居している彼のことに話を向けると、60過ぎて再就職した職場では、パソコンの試験に合格しないといけないとのことだった。試験合格後はデータの入力が中心のようで、そのためのトレーニングをしていて帰宅時間もだいぶ遅いと。

「じゃあ、桑田さんも、地震、大丈夫だったのね。安心したわ」


To Be Continued

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